Part 3 Interview with
Shinsuke Takizawa (NEIGHBORHOOD)


Part 2の続き
西山 徹(以下TET)
ここまでの話を踏まえて、やっぱり当時と今で一番違うのは「正解の有無」だと思うんだけど。
滝沢 伸介(以下SIN)
本当にそう。当時は正解がない。誰も答えを持ってない。だから、自分で決めるしかない。変な話だけど目標も特になかったから。これぐらい売りたいとか。ただ強いて言えばガレージが欲しいっていうくらい(笑)。
TET
今だったら起業とか何かを始めるにあたってはスマートフォンさえあれば、だいたいの答えがわかる。正解と不正解もはっきりしてて、失敗もある程度予測できて。でも当時は右も左も分からないから、手探りで始めてみてトライしてエラーして、そういうことを繰り返すうちに、なんとなく自分たちのシゴトが独自のビジネスとしてでき上がっていったんじゃないかなと。
SIN
そうだね、今だったらある程度着地点を見据えながら物作りもできるけど、当時は本当に手探りだったよね。始めたら止まれない。答えがないから、手を動かし続けるしかない。失敗しても、それが次の判断材料になる。多分この時代って今のことしか考えてなかったから、ものすごい吸収力だったし。
TET
バイクに触って乗って壊れて直してを繰り返して、今思えば結果的にプロジェクトのアイデアや基盤となってモノづくりに活かされる。
SIN
ハンズで買ったステーをバイクに使うとか(笑)。でも、それが特別だとは思ってなかった。使えるかどうかは、実際に使ってみないとわからない。
TET
その思考回路は、今も残ってる。
SIN
完全に残ってる。「これ、裏返したら使えるんじゃないか」「本来の意味を少しズラしたら成立するんじゃないか」。そう考える癖は、あの時代にできたんだと思う。それがいい意味でのクリエーションに繋がったのかもね。こんなこと言ったら語弊あるかもしれないけど、クリエイティブな姿勢とか発想とかって自分も徹も当時の方が鋭かったかも。


当時制作していたスクラップファイル、90年代初頭のバイク専門誌。
TET
人との関係性も、今とは違うように感じる。
SIN
違うよね。展示会が終わったら朝まで話して、次の日また設営する。身体的に同じ時間を過ごしてた。今は会社の規模も違うし、周りの仲間のことも考えながら仕事してるけど。
TET
当時は利害関係よりも、時間の共有があって繋がってた。
SIN
そう。売れるかどうかより、「面白いかどうか」。その感覚で集まった人たちが、今も周りにいる。あと個人的にすごく感じたのは、徹の発想って自分からしたらやっぱり東京の人だなぁって。裏原宿黎明期みたいな時代は今より適当な感覚だったけど、そういう時の発想で作ったものは今思い返しても突き抜けたなぁって思う。自分は地方出身だったからコンプレックスみたいなものもあって、東京の人の発想やクリエーションに憧れてた部分は正直あった。なんだかクリエーションに余裕があるんだよね。だからじゃないけど、地方出身者としては何とか成功しないと帰る場所がないから頑張れたのかも。そう、サバイバル精神はすごく大事だなって。当時はお金もなかったし、何とか自分の居場所を作らなきゃみたいな。電気料金支払えなくて電気止まったり、ガス止まると風呂に入れないから本当に困ったよね。上京してすぐにバンタンに通ってたけど一学期で辞めちゃって。それなのに数年後、バンタンが卒業生のインタビューしたいって取材に来て。卒業してないんだけどなぁみたいな。そういう服飾の専門知識を学んでない自分たちがストリートウェアみたいな業界で生き残ってこれたのはすごく感慨深い。もちろん海外のストリートブランドや周りの友達の影響もたくさん受けてきたけど。
TET
ここまで振り返ってみて、改めて「Motorcycle makes a man」という言葉をどう捉えてる?
SIN
今ならすごく腑に落ちる。バイクに乗ることで、工夫する力、失敗してもやり直す感覚、人とのつながり、全部身についた。知識じゃなくて、態度の話。そういうトライ&エラーを繰り返しながら培ってきたものが今の自分たちのモノづくりの感覚にすごく影響してると思うから。
TET
発想と工夫をバイクを通して学んだのは間違いないと思う。
SIN
そう。バイクは本当によく壊れるし、それを前提として乗っている。でも壊れたら直す。なければ作る。それを繰り返すことで、人は作られていく。バイクが、それを教えてくれた。


2人でニューヨークやL.A.に買い付けに行った際のスナップ写真の数々。
滝沢 伸介 Shinsuke Takizawa
NEIGHBORHOODクリエイティブ・ディレクター。1994年に東京・原宿にてブランドをスタート。 メインブランドであるNEIGHBORHOODをはじめ、キッズラインのNH ONETHIRDや、人間と植物との都会的共存をテーマにしたSRLを展開。 東京原宿をヘッドショップに、世界中にマーケットを拡大している。
photo: Tomohiko Tagawa
text: Nobukazu Kishi